タイ、一兆バーツの経済復興予算の行方は?

目次

  1. タイ、一兆バーツの経済復興予算の行方、枠組みが徐々明らかに
  2. スマートアグリ、高付加価値バイオエコノミー、そして、安心安全・質重視の観光およびサービスを、経済活動復興の重点分野に
  3. 雇用創出、地元物産を重視する地方や地域経済の復興
  4. 消費や民間投資の刺激
  5. インフラ投資
  6. 今後の流れ


タイ、一兆バーツの経済復興予算の行方、枠組みが徐々明らかに

コロナ対策を行うために、タイ政府が成立させた一兆バーツの借り入れ法に基づく予算の用途に関する枠組みは、タイ国家経済社会開発庁(NESDC)が5月25日に政府機関向けに開いた説明会において、徐々に明らかになった。 一兆バーツ予算の中、用途が次の三つに分類されている。

  • 1)失業者や事業主に対する援助:5550億バーツが、コロナ流行による影響を受けた国民、農民、事業主に対して援助を行うために使われる。
  • 2)医療関係:450億バーツが医療関係に使われる。例えば、医療関係者に関する費用、危険手当、その他手当など、医療機器、薬、ワクチン、ラボ整備、治療や予防に関する支出、医療機関の準備、治療や隔離関係の費用、緊急事態対応などがあげられる。
  • 3)経済社会の復興:4000億バーツが経済社会の復興に使われる。

特に、今後のタイ経済が短期的に復活できるかどうかについては、3)経済社会の復興予算の役割が大きい。今回の借り入れに関しては、今年度予算内、つまり、9月末まで実行するというのが前提で、政府は、以下の4つの計画に沿ったプロジェクトを各省庁から求めている。

  • 計画1:経済活動の復興につながる活動に関する支出と投資
  • 計画2:地方や地域の経済復興
  • 計画3:家庭
    消費や民間投資の刺激
  • 計画4:経済の安定につながる
    インフラ投資、生産活動の改善

では、予算の行方を追って、それぞれの計画について詳しくみてみよう。


スマートアグリ、高付加価値バイオエコノミー、そして、安心安全・質重視の観光およびサービスを、経済活動復興の重点分野に

スマートアグリ、高付加価値バイオエコノミー、そして、安心安全・質重視の観光およびサービスにフォーカスしているのが計画1の中身である。それぞれについても次のようなプライオリティ分野がある。

  • ・スマートアグリ:⑴精密農業に向けての農業情報管理システムを活用した資源(水資源、肥料、エネルギー)の節約、⑵農業に関する環境を制御する技術(温室や気象台など)を活用した天気の測定予報による農業リスク管理、⑶農機・ドローン・ロボットを活用した大規模農場、⑷デジタルマーケットプレスを活用した新たな流通機会がプライオリティ分野である。
  • ・バイオエコノミー:農産物の高付加価値化、特に、未来の食品、健康食品、バイオエネルギー、バイオプラスチック、バイオケミカル、薬やバイオ薬などがあげられる。
  • ・観光サービスやクリエティブエコノミー:安心安全、地域のキャパシティ、高付加価値化を重視する観光サービス、より設計、クリエティブ、安全性、厚生面を重視し、デジタル化も推進する。

また、他に、政府が政策として掲げるBCG(BioーCircularーGreen)エコノミーに関連する事業や地域も重視されている。


雇用創出、地元物産を重視する地方や地域経済の復興

計画2については、地方や地域の経済再生が重要なテーマとなり、次のような方向が注目されている。

  • ・地域の雇用創出や収入につながる。例えば、農業や食品に関する職業訓練、地元の水資源管理、クリエティブエコノミーや地元の観光、地方に関するビックデータ、未来社会につながる職業訓練。
  • ・観光に伴い、クリエイティブエコノミーを活用した地元物産や観光の高付加価値化。
  • ・ニューノーマルに沿った観光地の対応サポート。例えば、観光地、ホテル、サービスの改良、安心安全や厚生基準に沿った観光地になれるようにする。また、中小企業、地元の組合、地元の零細事業者などの事業健全化を支え、経済の基盤を安定化させる狙い。
  • ・地元の住民の需要に沿った問題解決である。
  • ・付加価値の連鎖(バリューチェーン)を重視し、欠けている活動の穴埋めや高付加価値化を推進する。例えば、生産効率の向上、物流管理、加工、マーケティングなどである。


消費や民間投資の刺激

家庭部門の消費を刺激し、民間部門の投資を促す狙いがある計画3だが、具体的な内容はまだ乏しい。主に、税制優遇措置や他の措置を通じた消費の刺激、地元のの零細企業から商品購入やサービス利用を促すプロジェクトが期待される。


インフラ投資

計画1と計画2の実施が円滑に行えるよう、必要な
インフラ投資がその計画4であり、水資源、運輸物流、地元事業者向けのインフラ、デジタルプラットフォーム、合わせて4つの分野が対象となる。

  • ・水資源:国の水資源管理計画に沿った中小規模の治水、深地下水の開発。
  • ・交通運輸および物流:地元からの商品を国内の流通拠点につなげたり、あるいは、教育機関、観光地、工業団地のような重要なスポットにつなげる。なお、鉄道を重視する。
  • ・地元事業者向けのインフラ:地元の組合、事業者、中小企業がそのインフラを利用して、コストの削減や商品の高付加価値化につながるものである。
  • ・デジタルプラットフォーム:家庭、地元事業者、中小企業の生涯学習向けの教育プラットフォーム。5Gから発生する新しい事業形態向けの準備。地元と消費者、そして、物流ネットワークともつながるeコマースプラットフォーム。


今後の流れ

過去のように、単なるお金の配布や、道路を作るのではなく、テクノジーへの投資を重視する要件がより多くなり、評価できる姿勢ではある。ただし、今年度予算内での実行を目標にするため、どれほど実行できるか、まだ見通しが十分立てられない。政府は、各省庁に対し、6月5日からプロジェクト・アイディアを募集し、6月15日までに各省の大臣を通して提出し、7月7日の内閣会議にて審査する予定。

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